Day279 2014.8.14 ジュネーブ14日目
早朝4:00、KさんとスージーOさんが仕度をする音で目が覚めた。
2人ともほとんど寝てないだろうな。
Kさんと帰ってきた時点で結構遅い時間だったし、その後も3人で話をしてたし。
大きな荷物を抱えて出て行く2人を見送った。
寝ぼけて、まだ頭が眠りから完全に目覚めていないせいか、昨晩までの寂しさは無かった。
「じゃあ、ナポリで待ってるから!身体に気を付けて!ニーニー」
「ナポリですか〜ピザ食べに行きたいですけど、行くかどうかは気分に任せますよ〜。」
「ホントね、ムリしないようにね。一緒に来てもいいのよ。」シャリ
「気を付けます。そんな甘い言葉掛けないでくださいよ〜。」
「じゃあ、またね。ニー」
「えぇ、また。」
握手をして2人と別れた。
ここからまた1人か。
久しぶりの1人。
何だかぽっかりと空いた寂しさを抱きながらソファベッドに戻った。
チェックアウトの時間ギリギリまでゆっくりして部屋を出た。
ジュネーブの街を吹く寂寥を帯びた冷たい風が急に孤独感を煽った。
3人で一緒に歩いてきた駅からの道を今は1人で歩いている。
さぁ、次の街へ移動だ。
駅のカウンターで次の街“ツェルマット”までのチケットを買った。
駅の店員さんも丁寧でハーフフェアカードというものを薦めてくれた。
ハーフフェアカードというのは、スイス国内の交通機関のほとんどが半額になるというもの。
もし、241フラン以上交通費で使うのであればお得になるとのコト。ちなみに有効期限は1ヶ月。
詳しくはこのスイス政府観光局のサイトで。
う〜ん…ケーブルカーとか次の街までの電車がいくらか分からんしなぁ…そもそも次の街決めてないし。。
まぁ、賭けだけど買ってみるか。
ツェルマットまでの切符93フラン→46.5フラン(¥5,373)とハーフフェアカード120フラン(¥13,866)を購入。
さぁ、ココからから4時間かけての移動だ。
移動も慣れたもんだな。
この旅に出て、どれだけの距離を移動したんだろう。
今までに見たコトに無い世界が1つ、また1つと俺の視界に飛び込んでは俺の世界を少しずつ作っていってくれる。
また新しい世界…
俺の世界を作る光景が近づいて俺の心を揺さぶり、去っていく。
アルプスの山々の合間を抜けて、今回の目的地“ツェルマット”にやってきた。
駅を出て、息を呑んだ。
絵に描いたようなアルプスの街。
天気も素晴らしく、太陽の光が大胆に降り注ぎ、人や建物を惜しみなく照らしている。
それが逆に絵の中の世界のように感じられる程だった。
駅を降りるとあまりの静けさに自分が異世界に飛び込んでしまったのでは無いかという錯覚に陥ってしまった。
人が居ないわけではない。車も走っている。
街の中を少し歩いて、その理由が分かった。
走っている車が全て電気自動車なのだ。それも小型の。
ツェルマットはガソリン自動車の乗り入れが禁止で、指定の区域を走っているのは小型の電気自動車と馬車のみ。
とても静かな街だ。
街を歩いている人々も落ち着いていて、イタリアの街のような猥雑さはドコにも見当たらない。
駅前ではおばさま方によるヨーデルのショーが始まった。
さて、まず目指すのはアルパインセンター。
明日は山に登る。
初めての雪山登山…そもそも山に登るのは初めてなんだけど。。
そのガイドの予約。
駅前にある1本道をひたすら真っ直ぐ進んだ所にアルパインセンターは立っていた。
2階にある受付で明日のガイドの予約をするとすんなり受け付けてくれた。
190フラン(¥21,954)…なかなかの値段がするな。。
しかし、これを出さないコトには先へ進めない。
ジュネーブ祭りで作ったお金はこのためなのだから。
そう、もう1つの目的とは、このツェルマットにそびえ立つ山に登るため。
しかし、それは真の目的とは言えない。
あくまで、これはまだ1つのステップに過ぎない。
この山を登れるかどうかで、先へ進めるかどうかが分かる。。
不安の興奮が入り交じるこの感情を一口で言い表すのは難しい。
ガイドの予約を済ませ、アルパインセンターを出て、街の中を散策した。
今日は野宿か…それとも宿に泊まるか…
ツェルマットの宿は安くても5,000円はするらしい。
泊まれる宿も少ないので。1万円弱出すのを覚悟しなければならないらしい。
そうなると選択肢は野宿…
しかし、ここツェルマットの最低気温は4℃。
考えただけで身震いがする。。
何とか、この街でお金を作るコトが出来れば、宿に泊まれないコトも無いんだけど…
駅前のインフォメーションセンターに行き、宿の情報を教えてもらうも対応してくれた女性の愛想がとっても悪かったので、インフォメーションセンターの一角でwi-fiを拾い、自力で宿を探した。
もう1度カウンターに行き宿のリストをもらうと良い情報もくれた。
何と駅前に宿との直通の電話があって、そこから無料で電話を掛けるコトが出来るらしい。
駅まで戻り、電話を見つけた。
ツェルマットの地図が出ている横に受話器がぶら下がっており、割り当てられたホテルの番号をプッシュすると繋がるという仕組みになっていた。
「今日泊まりたいんですけど…」
「5分後に掛け直してくれ。」
「分かりました。」
-5分後-
「すみません、先程電話したものなんですけど。」
「何ですか??」
「今夜泊まれますか??」
「何人??」
「1人です。」
「15分後に掛け直してくれ。」ガチャッ
「……………」
-20分後-
「すみません、先程お電話した者なんですが…」
「何ですか??」
「今夜泊まれますか??」
「何人??」
「1人です。」
「10分後に掛け直してくれ。」ガチャッ
「……………………………………………………イイ加減にしろぉ!ゴルァァァ!!!!」
-10分後-
「すみません、さっきから電話してる者なんですけど…」
「何ですか??」
「今夜泊まれますか??」
「何人??」
「1人です。」
「宿に来てくれ。」ガチャッ
愛想悪いし、何なんだよぉぉぉぉ!!!!!
とりあえず、今夜泊まれるってコトでイイんだよな…
ココの宿がズバ抜けて安かったから、ココがダメだったら野宿か……
駅からの1本道をまた進んでいった。
「ヘイ、キミは音楽をやるのかい??」
白髭を生やした中年のおっちゃんに話しかけられた。
「やりますよ〜!これで色んな所回ってるんです。」
「そうなのか!実は私もクラリネットでバスキングをするんだ。今日、ココでやるのかい??」
「やるつもりですよ。」
「良かったらセッションしないかい??」
「おぉ、楽しそうですね!」
「場所は決めてるかい??」
「いや、さっき着いたばっかなので…でも、この1本道しかやる所無さそうだから、この通りでやろうかなと。」
「そうかそうか、じゃあ後でキミを見つけるから、また後で会おう!」
「わかりました。楽しみににしてます!」
ゲイリーと名乗ったおじさんは奥さんと1本道の奥へと消えていった。
宿に向かう道の途中で、また息を呑む光景に出会ってしまった。
マッターホルン。
まじヤバい。
語彙なんて吹っ飛んでしまうくらいキレイな光景が俺を待っていた。
写真にしてみたら、あまりにもキレイ過ぎて、これもまた絵みたいな写真になってしまった。
ツェルマット想像していたよりスゴいわ。。
荷物置いて、また見に来よう…!
今回の宿の名前は“Matterhorn Hostel & Appartments”。
ドアを開けるとすぐに受付があった。
「さっき電話したんですけど。」
「あぁ、1人??」
「そうです。」
「32.5フラン(¥3,758)ね。ギターやるの??」
「やりますよ。それで旅してるんです。」
「そうなんだ!良かったら、後でウチのバーでやらないか??マイクとステージ用意するよ!」
「おぉ!イイですね!やらせてください!OK、後でまた話そう!」
音楽やってるのが分かった瞬間に態度変わったな…!
ま、いいか。良い方に変わったし!
久々にステージで出来るぞ!こりゃ楽しみだ!
部屋はこんな感じ。
久々にブタ箱みたいなトコに戻って来たぜ。。
荷物を降ろして、少しベッドに横になった。
あぁ、この収容所みたいな感覚…懐かしいな。
1人きりのベッド。
ニーニーもシャリーンも聞こえてこないのが寂しい。。
感傷に浸ってる場合じゃない…今夜の宿代を稼ぐぞ!!
目標40フラン!せめて宿代は作る!!
ギターを持って、宿を出た。
To Be Continued →
Day279 久々の孤独と息を呑む光景。
2013年11月から3万円とギターを持って世界一周の旅へ!!路上演奏とアイデアで稼ぎながらサバイバル!!知識と技術で生きていく!!をモットーに活動中!!
メディア出演や執筆のお仕事はコンタクトからご連絡ください!
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