Day120 ISISの基地に拉致!?マリファナ製造工場に連れて行かれた話。

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Day 120 2014.3.8 フェズ3日目〜シャウエン


6:27予定通り起床。


ワインが残ってて、まだベロベロの民が…



「ホントに今日行くのー??8:00出発のバス間に合わないよ。もう1泊していきなよ~。」

「いやいや、行きますよー。そんな、誘惑しないで下さいよ~、心弱いんですから。」

「じゃあ、残ろうか!」

「行きますよ~。」


オーナーに精算をお願いして、宿を後にした。



「バルセロナで待ってるね~。」

「あと2日で、たどり着ければ行きますよ~チアキさ~ん。」

「行くのやめなよ!」

「行きますってぇぇぇ。」


2人に別れを告げてタクシーに乗った。



旧市街にあるバスターミナルだと間に合わないので、新市街のバスターミナルへ向かった。


「おっちゃん、あと15分しかないから急いでね!」

「任せときな、ベイビー!!」


何とかギリギリ7:55に到着。




チケットカウンターに急いで向かった。


「シェフシャウエン行きのチケット1枚!!」

「フル!!」



うそぉぉぉん…!!



「11:00発だったら、あるわよ。」

「それで…」



3時間も足止めか…

カフェにwi-fiがあるらしいので、朝ゴハンがてらクリームパンを頼んだ。


「wi-fiのパスワード教えてください。」

「wi-fiはドリンクを頼んだ人だけだ。」



さ、先に言え…



仕方なく1番安いエスプレッソを頼むとカフェオレが出てきた…



wi-fiのパスワードを入力するも全然つながらない。


何回やっても繋がらない。


店員に尋ねても首をかしげるだけ。



あぁ、無駄金使っちまったか…






せーのッ……






無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄頑駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァッッ!!!



日記を書いて時間を潰し、バスが来るのを待つ。






ようやく11:00になり、バスに乗りシャウエンへ。



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途中、寄った休憩所のサンドウィッチ屋の仕組みが面白かった。


生のミンチ肉を肉屋で買い、向かいの焼き係に渡して焼いてもらう。

出来上がったらその人に焼き料を払う。


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ちなみに味はそこそこだった。


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再びバスに乗る。


隣に座っていた田舎ギャルと冴えない韓国人顔の日本人カップルが話しかけてきた。


「すいませぇ~ん、タクシー相乗りしないっすかぁ〜??あたしらぁ、タクシー乗りたいだけど、ディルハムがもう少ししか無くってぇ~相乗りできたらラッキーみたいなぁ~。」


いきなりのタメ口は慣れ慣れし過ぎて、若干引いた。


「そうですねぇ、まずこのバスがドコに着くかによるんですけど、行く方向が同じならイイですよ。」

「そうなんだぁ~。じゃあ、また後でだねぇ~。」


そもそも、方向が違う。


ズバッと一言言ってやれば良かったかな。




『だが断る』




と。


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そんなこんなで窓の向こうには青の街が見えてきた。


“思っていたより、青い所が少なかった。”


そんな話をちょこちょこ聞いていたので、期待していなかったけど、めっちゃ青いじゃん!!


期待してなかったおかげで、思ってたより全然青い!!逆に!!


シャウエンは次の街、バレンシアへ行くための経由地としてしか考えてなかったけど、これにはテンションが上がった。




バスから降りると恒例の客引き合戦が始まった。


あぁぁぁ、ウザい、ウザいィィィィ!!!!


「ホテル〜ホテル〜SOUIKA〜」


あれ、今日俺が泊まる所じゃん。


「ちょい、そこ、俺、今日、泊まる。」

「OK〜カモン〜」


連れてってくれるのか、タクシー乗らなくていいや、ラッキ〜♪


てか、歩きか…



シャウエンは標高がかなり高い。

少し歩いただけで、息切れがする。


そんな状況なのに更に山の上を目指して歩いていく。


ガイドしてくれるのはイイけど、歩くのが早くて付いていけん。


あんたは慣れてるかもしれないけど、こっちの身が保たん……


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ゼーハー…ゼーハー…言いながら15分程歩いて、ようやく宿に到着。


ガイド料請求されるなと思ったけど、請求されるコトは無かった。

その変わり、ウチの牧場を見に来いと言う。



興味が無いと言ってるのにしつこい。

俺はシャウエンの青い部分だけ見れれば満足なんだよ。。



「じゃあ、30分後にココでな。」と言って去っていった。



勝手に決めんなよ…





荷物を降ろし、昨日の残りのビールを開けながら、メッセージを返したり作業を終えて下へ行くとさっきのガイドが待っていた。


「さぁ、行くぞ!」

「行きたくない。」

「とりあえず、行こう!」

「だって、ガイド料取るじゃん。俺払わないよ。」

「ノープロブレム、ノープロブレム!」


ウザいなぁ…


俺は写真撮りたいだけなのに…


宿の外に出てもずっと付いてくる。


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写真を撮っている俺の先を歩いて、写真に写り込んでくる。

めっちゃ、ジャマ。


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おかげで友達へ送る写真も撮れなかった。

申し訳ないけど、消えてくれないかなと本気で思ってしまった。


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車が通る少し広めの通りに出ると1台のバンが止まっていた。

「こっちだ。」と言うのと同時に、どこからともなく男が現れて4人に囲まれる形になってバンに押し込められた。


あぁ…これはめんどくさいパターンのヤツか……

めんどくさ……


「さ、行くぞ。マリファナ工場!」

「何!?マリファナ工場??」


そいつぁ、ちょっと面白そうだな。

後学のために行くだけ行ってみるか。

抵抗さえしなければ命を落とすコトも無いだろう。


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バンはガンガン山を登り、戦隊ものの爆破シーンに出てくるような採掘場を抜け、山のてっぺん近くまで進んだ。


そこには小屋があり、ニワトリが鳴きながら辺りをうろついていた。

山のてっぺんだけあって、景色はキレイだった。

あたりの風景を写真に収めていると「そっちはやめろ!!写真は撮るな!!」と言われた。

「そっちには写真が嫌いなヤツがいるから無闇に撮るな。工場の中はOKだ。」

そういうコトか。。

「中に入れ!」


確かにニオイがプンプンする。


「嗅いでみろ、上物だ!」


そう言って、モノをこちらに渡してくる。


が、俺には上物かどうかなんて、分かりっこない。



それでも、知ったようなフリをして「フ〜ン…」と言ってみる。


ココで彼らにナメられたら、終わりだからな。
退散しようにもこちらに不利な状況で退散する形になってしまう。



小屋に入ってすぐにフランスから来たという3人組の男女がやってきた。

楽しそうにしている。

慣れているのか、単純に工場見学ツアーのノリでやってきたのか。。


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一通りの行程を見せられると「奥の部屋に来い。」と言われ、コンクリート打ちっぱなしの寂れた部屋に連れていかれた。

部屋の中は、ドラマでよく見るような警察の取調室のような感じだ。

机が1つとイスが2つあるだけ。

作りかけの部屋なのか鉄筋は剥き出しになっていて、窓があるべき場所はそのまま外に繋がっていた。

フランス人と隔離されてしまったなぁ。

1人か。。

少々の不安がでてくると扉の向こうから男が入ってきた。

遂に来るか…

金の話だな…



最悪、来た道を戻って山を下って帰るか。

ざっと4時間はかかるかな…


部屋に入ってきた男の目がギロリとこちらを向いて、口が開いた。


「本題に入ろう、2kgか?3kgか??」

「何の話だ??」

「どれだけ買うかだよ。」

「俺はそんな話、一切してないぞ。」

「そうか、じゃあ見学料とココまでの車代で1,600DH(約¥224,000)だ。」

「1,600??寝ぼけたコト言わないでくれよ。俺はココに来たいとも言ってないし、隣にいるそいつにガイド料は払わんからなって言ったからな。」

「ココに来たヤツはみんな払うんだ。日本人だろうが、フランス人だろうが、イギリス人だろうが誰でもだ。」

「そうは言っても残念ながら金は持ってないよ。」

「じゃあ、1,000DH(約¥14,000)でどうだ??」

「下げても無いもんは無い。」

「こんな上等なモノも付いてるんだぞ。」

「そんなもんは要らん。俺が欲しいって言ったか??」

「じゃあ900DH(約¥12,600)だ。」


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それから、小一時間やりとりが続き、日が暮れてしまった。

この状態での徒歩での下山、土地勘が無いコト、そもそもこの状況…

無理をすれば…

もう少し粘ってみるか。

「分かった。じゃあ、吸ってみろ。吸えば、コレがどれだけ上等なモノか分かるハズだ。」

「どうかな。」

渡されたマリファナに火を点けた。

とは言ってもマリファナだなんて吸ったコトも無いから上手く火を点けられない…

何とかバレ無いように煙を出すコトに成功した。

「ん〜コレでその値段か??コレじゃ、ローマやバルセロナで出回ってるモノと大してモノも値段も変わらないじゃ無いか。」

「分かった。ちょっと待ってろ、ボスに聞いてくる!」

男はそう言って扉の向こうに消えていった。

扉が閉まったのを確認して地図を確認する。

こりゃ、やっぱ街まで戻るのに4時間以上はかかるぞ…

どうする…

てか、マリファナなんて要らないんだよ〜!!

どうしよ、どうしよ…

とりあえず、ヤツらに素人だってバレたら、マズい。。

何とか演じきらないと…!!

バタン…

「オーケー。850DH。コレ以上まけられない。」

「オイオイオイオイ、コレで850DHなんて、随分シケたコト言ってるじゃないか。そうやってボッタくってやろうたって無駄だぜ。その調子なら、今回の取引は無しだな。帰るぜ!」

「分かった分かった!!待ってくれ。ボスにもう1回聞いてくるから!!」

バタン…

危ねぇよぉ…こういう取引とか、そういうの要らないんだよ。

無事に街まで返してくれよ。。

バタン…

「800だ。800DHがファイナルプライスだ。」

「ほう、それがファイナルプライスか。じゃあ帰るよ。街まで連れてきな。」

「待てよ。タダじゃあ帰さないぜ。少しでも買ってくんだな。」

「モノは要らねぇよ。」

「そうはいかねぇ。」

「分かった。足代だろ。タクシー代だと思って、そのくらいは払う。街まで送って行きな。」

ヤバい…ちょっと強めに出てきたな。

急に顔色が変わってきた。

ココらが潮時だな。

コレ以上は危険なニオイがプンプンする。

「750DH(約¥10,500)だ。モノも付けてやるから。」

「分かった。モノは要らねぇよ。ただ、それだけの金を持ってきてない。宿に帰ってからだな。」

「よし、じゃあ行くぞ。」

危なかった。

コレで何とか街まで帰れる。

金は向こうに着いてから何とかするか。

バックれられればイイけど…とりあえず解放はされるコトが出来る。

ちょっと痛い出費だけど、今回は750DH(約¥10,500)で手を打つコトにした。

マリファナ精製の現場を見れたと思えば、良い見学料かな。

もう、こんな経験はしないだろうし。

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バンに乗り込み、山を下った。


辺りはすっかり闇に覆われており、自力で今夜中の下山は無理だっただろう…


宿に帰り、隠し財産からお金を取り出し、彼らに渡した。


ニヤニヤしながら、「これは取っておけ。宿の他のヤツらに売れば金になるから。」と言って、ブツを渡してきたが受け取るのはやめた。

それを見たホテルのスタッフが、チラチラとコチラを見ながら受け取っていた。


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それから、夕飯を食べがてら、シャウエンの街を徘徊した。


宿に戻ると明日待ち合わせを約束しているハズのカーシェアのドライバーが、なぜかリビングに居た。


「あれ、約束は明日ですよね??」

「予定を変更しなきゃいけなくて、伝えに来た。」

「え??」

「明朝4:00に出発するコトになった。」

「え…9:00じゃないの??」

「4:00にホテルマラケシュの前で。」



今夜…寝れない……

寝たらアウトだ…




屋上へ行くと10人程の男女がのんびり話をしていた。


モクモクと煙をくゆらせながら。


その輪に入って、3:00まで時間をつぶした。


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今日はホントに一歩間違ってたら危なかったな。

とりあえず、無事に帰ってこれてよかった。。

To Be Continued →

〜後日談〜

その後しばらくして、1年半ほど経った頃にコロンビアのメデジンでこの話を旅人の1人に話したところ、その旅人の顔が急に青ざめた。

「もしかして、その工場ってフェズのこの辺で山の上じゃないですか??この辺り…」

そう言ってグーグルマップの地図を見せてきた。

「そうだよ、そう。そこ!!何で分かったの??」

「ほんっと無事に帰ってこれてよかったですね。今行ったら、確実に無事に帰ってこれないですよ。」

「どうして??」

「だって、今そこ…ISISの基地になってますから。。」

その話を聞いて、一気に背筋が凍った。。

面白そうだからといって、何でもホイホイ付いていったらいけない。。

自分の身を守るのは自分だけ。

コレを他の旅人さんも肝に銘じておいてくださいね。。

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