Day939 2016.6.4 ニューヨーク9日目
1時間もマンハッタンの高層ビルを眺めてしまった。。
結局、イースト・リバー州立公園を後にし、Bedfordの駅に向かった。
改札を抜け、プラットフォームに降りた。
ココでやろう。
今日の新しいチャレンジは、駅のホームで演奏する。
警察が入るブースを背にギターを取り出した。
おそらく、先ほどのフリーマーケット帰りの人々が電車を待ちながら奇異の目でコチラを見ていた。
やっぱり、人が集まっている場所でいきなりやるのは、勇気がいるな…
いつも毎回1曲目に唄う曲を外して、アメリカ人でなくても皆が知っている有名な曲から始めるコトにした。
ちょうど電車がホームに飛び込んできて、そこに人々は吸い込まれていった。
人が減ったコトで安心している自分が居た。
よし、これから来る人たちに対しては大丈夫。
気持ちを切り替えていこう。
ココからはいつも通り自分のペースで唄った。
定期的にやってくる電車の音は、とても大きく、自分の音が人に届いているか分からなかった。
駅のホームでやるコトもアンプのボリュームを最大にしてやるコトも初めてだった。
ポツリポツリと反応がある。
この調子でいけば、これまでの平均はいってくれるだろう。
4曲目を終えたところで楽器を持った人に声をかけられた。
きっと場所を譲って欲しいんだろう。。
話をしてみると、とても物腰の柔らかいバンジョー弾きのおじさんだった。
彼は、いつもココでやっているらしく、どうやら新参者のオレが商売のジャマをしてしまっていたようだ。
彼に開始から、ちょうど1時間になる20:00までやらせてもらえないか??とお願いすると快くOKしてくれた。
よし、それまで出来るだけやるぞ!!
その後も反応は薄いながらも、1ドル紙幣が入るので単価が高い。
昨日も一昨日も思ったのだけど、コインを入れていく人が少ない。
入れたとしても、必ず1ドル以上揃えてギターケースの中に置いていってくれる。
そういう文化なのかもしれないな。
というコトは当たれば大きいというコトか。
その予想通り、5ドル紙幣を入れてくれる人も居た。
本当に感謝しかない。
今の自分に勇気とエネルギーを与えてくれる。
時計を見ると20:00に差し掛かるところだった。
最後の曲を唄って、片付けをした。
ケースの中を見ていると1時間で15ドル入っていた。
よかった…
周りを見渡すと足元を濡らした人が多かったので、雨が降ってきたのだろう。
傘を持っている人や急造のカッパを着ている人も居た。
バンジョー弾きのおじさんに「お待たせしました!!」と挨拶すると、「全然大丈夫だよ!イイ音楽やるね!」と言ってもらえた。
そこに別のギターを持った若い女の子が話しかけてきた。
「どんな音楽やるの??」
「日本の曲と英語のポップスだよ。」
「そうなの!聞いてみたかったわ。今日はもう終わり??」
「いや、これから移動して続けようと思うけど、ニューヨークに来たばかりで、まだイイ場所が見つからないんだ。」
「それならユニオンスクエアのLラインのホームの端にエレベーターがあって、そこの前が階段になっているから、お金を稼ぐには、そこがイイわ!」
「そうなんだ!これから行ってみようと思ってたから、行ってみるよ!ありがとう!」
よし、次はそこだな。
電車に乗り、教えてもらった場所に向かった。
エレベーターがあったのはホームの端の方だった。
確かに階段があり、人が来そうな場所だった。
しかし、思ったほど人は多くない。
果たして、ココで稼げるのだろうか。
反応は薄いかもしれないけど、やってみないと分からないからな。
ギターを取り出して、演奏を始めた。
程なくして、予想を超えてきた。
30分経って、上がりゼロ。
まさかのゼロ。
つい先ほど、取り戻しつつあった自信が見事に崩壊するところだった。
もうこれ以上やっても無駄だ。
自信を完全に失う前に移動してしまおう。
ホームからコンコースに上がり、目星を付けていた先日とは違う通路でやってみようと思ったのだけど、人の数が少ない。
土曜の夜だというのに、あまりにも人が少なかった。
この様子じゃ、通路でやっても反応は薄いだろうな…
そうしたら、飲屋街に行ってみるか。
先日行った焼き鳥大将のある8st-NYUという駅に向かってみよう。
電車に乗り、1駅。
駅を出ると雨は止んでいた。
これなら路上も出来そうだ。
荷物を引っ張って、飲屋街に向かった。
路上が出来そうな場所は無いかと通りを往復して、1か所店舗の前にスペースがあったので、そこでやってみるコトにした。
ちょうど、その店舗のスタッフが出てきたので、やってもイイかと尋ねると「go ahead bro!!」と快い返事が返ってきた。
アメリカらしいぜ。
準備を終え、ギターを取り出して飲屋街に声を響かせた。
頼む、みんなにオレの音楽が届いてくれ…!!
多くは無いものの反応をもらえるコトが出来た。
アジア系のレストランが多いこのあたりでは、やはりアジア人の姿も多い。
親指を立ててくれる人も結構居て、励みになった。
しかし、チップの入りは芳しく無い。
遠くから、こっそり写真を撮る人は多いのに。。
酔客が足を止めてもチップを入れずに絡んでくるだけ。
雨が降ったり止んだり。
心が折れそうだった。
それでも、時折とびきりの笑顔で声をかけてくれ、チップを入れてくれる人たちがいて救われた。
そこに1人の男性が話しかけてきた。
「なんだー、日本人だったのかぁ!早く知ってりゃあなあ!日本人ってんなら、入れてやらねえとなあ!頑張れよ!」
そう言って、ケースに札束を入れてくれたのは…
そう、焼き鳥大将の大将だ。
「ありがとうございます!!お店の方は大丈夫ですか??うるさくないですか??」
というのも焼き鳥大将のすぐ真横で演奏していたから。
「んあー、大丈夫だろ!」
コレはお墨付きを頂いた…というコトでイイのかな…??
そんな大将とのやり取りの後、また別の人が話しかけてくれた。
「いつもココでやってるんですか??」
「いや、先日ニューヨークに着いたばかりで、路上のできる場所を探していて、ココでは今日初めてやりました。」
「そうなんですね、ニューヨークにはあとどれくらい滞在されるんですか??」
「この後1か月いる予定です。」
「よかったら、ウチのお店で演奏してくれませんか??」
「え??」
「Mr. Taka Ramenというお店をやっていて、そこで演奏して頂きたいんですけど。どうでしょう??」
「え、お店の中でですか??」
「はい、30席ほどあって、その一角でやって頂ければと。来週の金土とかどうですか??もちろん謝礼は出します。」
「え、いいんですか??」
「ぜひ。ずっと休憩なしだと厳しいと思うので、1時間ほどの演奏を2回やって頂ければと思います。おいくらくらいお出しすればイイですかね??」
「え、あんまりお店とかでやったコトないんで…お気持ちで。。」
「ありがとうございます。じゃあ、金曜日の20:30にお店に来てください。よろしくお願いします。」
連絡先を交換。
って、え、え??
ニューヨークでライブ決定。
まじかよ!!
ニューヨークのマンハッタンでソロライブ決まっちゃった!!
こんなコトあるのかよ…!!
今日、イースト・リバー州立公園で心折れて、そのまま帰らなくてよかった。
こんなチャンスが巡ってくるなんて…!!
どんなに心折れそうになっても、立ち続けたらチャンスが巡ってくるんだ…
来週の金曜日、絶対満足させるぞ!!
お店に来てくれる人にも、チャンスをくれたタカさんにも!!
そして、自分自信も!!
明日から猛特訓だ。
家に戻ると隣の部屋から物音が聞こえる。
そうか、隣人が引っ越してきたんだ。
どんな、人なんだろう。。
変な人じゃありませんように。。
緊張しながらリビングで作業をしていると部屋のドアが開いた。
「こんばんは…初めまして。」
「こ、こんばんは。」
若い女子!
おばさんじゃなかった。
今年大学を卒業して、そのままニューヨークに飛んできたというユイちゃん。
今は語学学校に通っているから朝早く出て、そのままバイトで日付が変わる頃に帰宅するので、ほとんど部屋にいないそう。
少し話をしたけど、気難しそうな人じゃなくてよかった。
それに結構フランク。
お酒も飲むというコトなので、ストックしてあったビールを出して乾杯するコトに。
「スゴい旅人がいるって聞いてたんですけど、フランクな感じの人でよかった〜。」
「そんな風に言ってたんだ!オレも少しだけど、話聞いたよ!」
それから自己紹介がてら、いろんな話をしてたんだけど、ユイちゃんがゴソゴソし始めた。
「あ、こんな所にお酒ありますよ。いきますか??」
「まじ??それ、何なの??」
「わかんないです。中国のお酒っぽいです。」
「それ、前の住人が置いてったヤツじゃない??」
「イケるの??」
「どうですかね〜??」
「めっちゃ強い。。飲んでみてください。」
「まじかよ…うぉぉ何だこれ。。」
謎の酒、めちゃめちゃキツい。
たった1杯なのに、物凄く回る。。
その後も色々話してたんだけど、結局2人ともぐでんぐでんの泥酔状態。
ユイちゃんは、あっちこっちで転がってるし、何とかベッドまで連れていこうと思ったけど、暴走して他の部屋に入ったり…!!
そうこうしてる間にオレの酔いも頂点に達したらしく、いつの間にかソファで寝落ちしていた。
To Be Continued →
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