Day291 2014.8.27 浜松
夕方、ばあちゃんの所へ。
突然行ったから、驚いてた。
「どうしたの、大丈夫なの??」
見た目にすっかり抗がん剤の影響が出ていて、大丈夫じゃないのは見てすぐに分かったけど、こんな言葉しか出なかった。
「驚いたよ。帰ってきたんだね。」
掠れた声で、ばあちゃんはそう呟いた。
「うん、マヤ(従姉妹)の結婚式があるからね。何とか間に合わせて帰ってきた!何とかジュネーブでね、航空券代作ってさ、結構大変だったけど、やろうと思えば案外出来るもんだね…!」
「あんた、ドコに居るか分からないからさ、ニュースで日本人が掴まったなんて聞くとあんたじゃないかって心配するよ。ベルさん(前に一緒にスペインに来た旅仲間)もあんたじゃないかって心配したってさ。」
「ハハハ、危ないトコには行かないから大丈夫だよ!危ないコトはたまに寄ってくるけど。」
「マヤの結婚式は私は行けそうにないから、1人で行って来てくれるかい??もう支度は済んでるよ。事情話して招待状書いといて。」
「分かった。その辺はメールで伝えとく。それにしても帰ってきて、ばあちゃんトコ行ったら入院してるなんて言うもんだからさ、ビックリしたよ。」
「私もねぇ、まさかこんなになるとは思わなかったからさ。自分の身体なのに全然気付かないの。」
「そうだよね。半年前に会った時は全然そんな気配も無かったし。帰ってきて、次はドコの国行くの〜??なんて聞こうとしたら、まさかこんな状況でさ。まさに青天の霹靂。居ても経っても居られなかったよ。」
「そうねぇ。次はドイツに行こうとしてたんだけど、これじゃ当分無理だねぇ。。もうたくさん色んなトコ行ったしねぇ。」
「いやいや、まだまだ。ガンなんて治してさ、また遊びに行こうよ。俺もまた海外でサプライズしちゃうよ!」
「そうねぇ、やるコトもやったからねぇ。」
話しながら、ばあちゃんの目には涙が浮かんでいた。
「まだまだ、やるコトいっぱいでしょうよ。何より俺がまだ、ばあちゃんに何も見せられてないよ!」
「あんたには随分、投資したからねぇ。」
「へへへ、何も言えません…!」
「あんたは人と違う道を選んだんだから、自分の好きなようにやりさない。人と違う事をやるのが良いんだから。」
う………
胸に刺さる。
決して痛みでは無く、心の奥底に響くような…そんな感覚。
決して人前で涙を見せるような人じゃない。
見たのはじいちゃんの葬式の時くらい。
そんな人が目に涙を浮かべながら、そんな言葉を俺に向かって放った。
まさか、ばあちゃんがそんな風に言ってくれるなんて思わなかった。
いつも尻を叩いて、激励してくれるような人が俺を認めるような発言をするなんて。
1番認めてもらいたくて仕方ない人が、そんなコトを言うなんて。。
さっきの言葉は俺を認めてくれたように感じた。
だけど、それが恐怖でもあった。
1番認められたい人に認められたら、俺はこの先ドコに向かって走れば良い??
矛盾する感情がそこにはあった。
昨日もおじさんと会った時に俺のコトを認めてくれるようなコトを言ってくれた。
おじさんはいつも、一癖あるような言い方をするのに、今回は違った。
少しずつ自分の行動が認められてる。
それって幸せなコト…のハズなのに、俺の中には恐怖や焦りのような感覚が生まれた。
俺はまだ何もやってない。
何も成し遂げてない。
それなのに…そんな言葉をもらったら、俺はどうすれば…
俺なんて、その辺に転がってる石ころや雑草と変わりない。
そこから宝石や一輪の花になろうと頑張ってる。
だけど、まだまだその道は遠い。
それなのに……
面会時間の終了を知らせる放送が館内に流れた。
「ばあちゃん、東京行く前にまた来るよ。」
「そうね。やる事も無いしね。夕方だったら治療も無いし。」
「そいじゃ、また。」
面会用のマスクを外し、外の空気を吸い込んだ。
今の俺に出来るコトは何だろう。。
早く、早く結果を出したい…
焦る気持ちが俺の心を支配していく。
焦った所で何が出来るか…
もどかしい。
歯痒い。
自分の無力さ。…
沈黙のまま、窓の外を流れる景色を視界の端に流しながら実家に帰った。
To Be Continued →
Day292 隠された真実

2013年11月から3万円とギターを持って世界一周の旅へ!!路上演奏とアイデアで稼ぎながらサバイバル!!知識と技術で生きていく!!をモットーに活動中!!
メディア出演や執筆のお仕事はコンタクトからご連絡ください!

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