Day780 2015.12.28 メリダ16日目
これはとある旅人の話でしてね…
紛れも無い、私の友人の話なのですが…
“その”直前まで一緒に居た私が話をするのに、抵抗も少し感じるんですが…お話しますね。
この方、名前は仮に“プリプリさん”としましょう。
いつもね、この方はね、ブヨの仲間のプリプリみたいに周りでブンブン、ブンブン鬱陶しかったりするもんですからね、ちょうどいいでしょう。
で、ですね…そのプリプリさんは12月の23日まで一緒にメリダの街に居たんですよ。
私と一緒に。
でも、急に「メキシコに行かなきゃ、メキシコに行かなきゃ!!」って言い出したんですよ。
何かに取り憑かれたように。
それで、「今日はクリスマスだから、国境閉まってるんじゃ…」という私たちの制止を振り払って、朝一でタクシーに飛び乗って、行ってしまったんですよ。
あ〜、こりゃきっと国境のあるサンアントニオまで行って、引き返してくるな〜なんて話をみんなでしてたんですよ。
どうなったかな〜、どこにいるのかな〜大丈夫かな〜なんて思いながら、時間は刻一刻、刻一刻と過ぎていってね、いつの間にか私も寝てしまったんです。
そしたら、急にブブブブ、ブブブブ…っと蚊の鳴くような音と一緒にiPhoneが震えたんで、画面を見てみたら、プリプリさんからのメールでした。
『ねぇ、私どこにいると思う??』
ん…??ククタまで着いたのかな??
それともサンアントニオでストップしたか??
それか、メリダに戻ってきたとか??
『ククタ??国境開いてんだね。』
『そう、ククタなの。でも、国境は閉まってた。』
『え、どういうコト??ククタはコロンビアだよね。』
『とっても大変だったの…聞いてよォォォォォォォ!!!!!!!!!!』
『わかったから、落ち着いて!!』
ココからはね、プリプリさんの不法出国の話を本人が話すままに書きますね。
メリダの宿を出てタクシーに乗った後、バスターミナルから問題無くサンクリストバルまでは順調に…むしろ通常より1時間くらい早い4時間で着いて、そこからはタクシーでサンアントニオへ。
サンアントニオのタクシーの運転手のおじさんが「今日は国境開いてないよ。24,25日は閉まってるよ。」と言うものの、ここまで来たなら国境までとりあえず行くしかない。
おじさんの助言はありがたいけど、無視してコロンビアとベネズエラの国境へ向かってもらった。
そこには人っ子一人おらず、三途の川に架かる橋のようだった。
国境に背を向け、市街地に戻るとオレンジ色のベストを着たバイタクの人たちが、いっせいにコチラを向いた。
「何してるんだ、こんな所で。」
「国境越えたい!!でも、閉まってる!!」
「どうする…ちょっと待て。。」と言って、周りの男たちと相談し始めた。
「金がかかるけど、いいか??」
「大丈夫、金ならあるから!!」
「よし、じゃあコレを被れ。」
そう言って、ヘルメットとオレンジ色のベストを渡してきた。
大人しく従い、ベストとヘルメットを身に付け、バイクの後ろにまたがった。
もう1台のバイクには運転手と現地人が乗り、トランクを抱えてくれた。
市街地から郊外へ向かい、2台のバイクは走り出した。
20分ほど走っていくと市街地を抜けた所、先ほど見た閉ざされた国境をまたぐ三途の川のような川の麓に出くわした。
そこには1軒のフェンスに囲まれた民家があった。
おどろおどろしく、無言でそびえ立つ民家に向かって運転手が言葉を投げると若者が出てきた。
男は小声でドライバーに向かって何かを言っているが聞き取れない。
ドライバーが彼にお金を渡すとゲートが開いて、その民家の庭を通るコトになった。
その先にも何軒も同じようにフェンスに囲まれている家があり、そこを通過する度に門番にお金を支払い、通過を許してもらった。
5軒目の家を過ぎると、両側を茂みに挟まれた1本道に出くわした。
そこを進んでいくと大きな銃を持っている軍人が現れ、ヒマそうに立っていた。
その周りには20人ほどの人たちが大きな荷物を抱えて何かを待っているようだった。
聞こえてくる会話から推測するに、そこに居る人たちはコロンビア側からベネズエラへ向かってやってきた人たちのようだった。
彼らは一体何を待っているんだろう…
そんな疑問を抱えながら、彼らと同じように自分も何を待っているか分からないが待つコトにした。。
To Be Continued →
Day780 実際にあったベネズエラ不法出国のお話
2013年11月から3万円とギターを持って世界一周の旅へ!!路上演奏とアイデアで稼ぎながらサバイバル!!知識と技術で生きていく!!をモットーに活動中!!
メディア出演や執筆のお仕事はコンタクトからご連絡ください!
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。
コメントを残す