Day216 消えた130ユーロ〜他人の不幸は誰かを幸せにする〜

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Day216 2014.6.12 ローマ三度8日目


『お前には出来ない。』

『お前は分かってない。出来るわけがない。』


言い返そうとしても、言葉が喉に引っ掛かり、上手く言い返すコトが出来ない。


俺を否定する親父の姿は若かった。

その隣にいる母親の姿も若かった。


そもそも、親父と母親が一緒に居るコトがおかしいのだが。


両親は、もう15年も前に離婚してる。


だけど、その時は自然に感じた。


親父の夢を見るなんて珍しいな。

年に1回、顔を会わせるかどうかなのに。

こんな夢を見るなんて。


遠い昔にこんなコト言われたのか??


もしそうだと仮定したら、今こうやって無謀なコトに色々とチャレンジしたくなる性格になったのか。


それは分からない。

もう覚えてない。



それとも、また1つ無謀なコトをやりたいと心から強く願い始めてしまったからだろうか。



誰でも…かどうかは分からないが、男の…人間のロマンの1つであるコトに、またチャレンジしてみたくなってしまった。


最初は冗談混じりで口にしたコトだけれど、その言葉を自分の口から吐き出した途端に胸がワクワクした。


そして、次第にその気持ちが息を吹き込められた風船のように、どんどん膨らんでいき、胸がワクワクするだけでは済まなくなってきた。


考えただけで、胸の内が熱くなるような…そして同時に恐怖と言おうか、果たして自分にやり遂げるコトが出来るのかという不安が襲ってくる。


この二律背反とも言うべき感情が胸の中をグルグルと水槽の中を駆け回る魚のように堂々と巡っているのだ。



次にやりたいコトは文字通り、命を賭けねばならないコト。


もし、俺が天に愛されていれば、この思いは叶う。

もし、そうでなければ…



あぁ、俺はまた馬鹿なコトをしようとしている…と冷静に思う自分も居るのだけれど、その感情、欲求を抑えられない自分がココにはいる。


この高揚感、高ぶる気持ちを抑えるコトが出来ない。


やりたいと思ったら、やらなければ気が済まないのだ。


何でそんなコトをしようとするのか…??


理由なんて無い。


俺が俺としてココに居るから。


敢えて言うなら、それが理由だ。


何でお前は生きているんだ?と問われて、それに明白に答えるコトが出来ようか。

それと同じだ。


この若い肉体と命以外に失う物が無い、今の状況…こんな好機が次にいつやってくるか分からない。


チャンスは今だ。


やるしかない。




手を伸ばせば触れられる天井を見つめながら、考え事に耽っていた。


そうだ、昨日のあがりの計算とお金をまとめなきゃ。


ロフトから降りて、バッグの中からヨーコさんから頂いた封筒を出そうとした。


…が、見当たらない。。


え……??


バッグの中身を全て取り出し、隅々まで見て手で探ってみたが、その姿は見当たらなかった。。


ウソだろ…


またこのパターンか……


封筒、その中には130ユーロが入っていた。

それが忽然と姿を消したのだ。


昨日、確実にカバンに入れた。


その後、ピッツェリアに寄った時にカバンからカメラを出したが、封筒が出ないようにカメラケースをカバンの中に入れたまま、カメラ本体を取り出した。

それから家に帰るまでカバンは開けていない。

路上をやっている時にカバンに近付く人も居なかった。

盗られている可能性は限りなく低い。


では、いつ…??


あぁ…思い当たる節が1つあった。


路上やってる時だ。


「ヤッケンさん、カメラ使っても良いですか??」

「ん〜、カバンの中に入ってるから出してイイよ〜。」


熱さと唄うコトでエネルギーを消耗し切って、休憩してた時だ。

疲労困憊で封筒のコトまで頭が回らなかった。

それ以外にカバンを開けるコトは確実に無かった。


もちろん、彼が盗ったなどと疑ってはいない。

封筒にお金が入っているコトを知っているのはヨーコさんの周りと俺だけだし、ヒロくんはずっと俺の前に居て封筒を手にして開けるなんて行動は取ってない。

きっと、カメラを出す時に落ちてしまったのだろう。。


もう1度カバンの中、ギターケースの中、部屋の中を見て回ったが、やはり無かった。


可能性があるとすれば、昨日行ったピッツェリアかヨーコさんの家だろう。

ヨーコさんは1ヶ月近く帰ってこないと言っていたし、もし家の中に落ちていたら連絡をくれるだろう。

何より、本人に言いづらい。。


路上へ行く前にピッツェリアに寄ってから行こう。



仕度をしてトラムに乗り、昨日のピッツェリアに寄ってみた。

ちょうど夕食時で店内は混雑していた。

忙しなく店内を駆け回る店員に申し訳ないと思いながら、声を掛けた。


「すみません。」

「あぁ、今日も来てくれたのかい??」

「今日は食事じゃなくて、忘れ物をしたと思うので確認してもらいたくて。」

「昨日、あそこの席に座ってたよな??」

「えぇ。そこの席です。」

「覚えてるよ。だけど、忘れ物は何も無かったよ。それに上に監視カメラが付いてるから、確認すれば分かるよ。」

「そうですか…一応なんですけど、もし白い封筒があったら、ココに電話をください。大事な物なんです。」

電話番号をメモした紙を渡した。

「あぁ、一応他のスタッフに聞いてみるよ。あったら連絡する。」

「ありがとう。」


それから、路上に向かった。


昨日、路上をやった場所へ行ってみたが、やはり封筒など落ちているはずが無かった。

集中出来ないまま、レストラン周りを始めた。


今日もお客さんはまちまち。

反応も鈍い。


あぁ…どうして、いつもこういう目にばかり遭うのか。


今回も俺の不注意と言えば、俺の不注意だ。

原因は俺にあるのだろう。

それにしても納得のいかない部分が大きい。

誰かが取ったとか、そういう問題ではなく、こういう問題が常に身の回りに潜んでいるというコトがだ。


今回は130ユーロで済んだ、俺にとっては大金だが、と思えばイイかもしれないが…


こういった望んでも無いような不幸が頻発するのは、何が原因なんだ。


俺自身か??


少なくとも周りの人間のせいでは無いだろう。


どうすれば、その状況を変えるコトが出来るんだ。


これは自分に与えられた運命だと受け入れるしかないのか??


あぁ、口惜しい。。


しかし、誰かの不幸は誰かを幸せにする。


そう考えれば、幾分か楽になる。

その130ユーロを拾った人間が幸運を手にするのだ。


逆に言えば、誰かの幸せは誰かを不幸にするコトもあり得る。



ポンペイの時、大金の入ったポーチを俺は拾った。

洗剤詐欺の直後だった。


そのまま、その大金を持っていってしまえば、取られた分の金、いやそれ以上の金を手にするコトが出来た。


落とし主には申し訳ないが不幸になってもらい、そもそも落とした本人の不注意が原因なのだが、俺たちが幸福になる権利を手にするコトも出来た。


しかし、俺はそれを放棄して、落とし主に返した。


彼らは不幸になるコトは無く、その後もポンペイ、イタリア旅行を楽しめただろう。


こちらに対する見返りはもちろん無い。


これが正しい行為だと言ってくれる人も居るだろうが、それが何故正しいのかまで言えるだろうか??



俺は俺の正義のためにそうした。


他人の幸せを奪ってでも、自分が幸せになりたいと思わなかったからだ。



果たして、これが正しい行動かは分からない。


正直、拾った財布をネコババしたってイイとさえ思っている。


それは、拾った人間に与えられたチャンスだからだ。


その先は分からない。

自分の物にしようが、落とし主か警察に届けて、自分が正しいコトをしたという自己満足による充実感に溺れようが、知ったコトでは無い。


本音を言おう。


ポンペイの時、落とし主に渡したが「ありがとう」と言われただけで、あまりにも素っ気なかった。

落とした金額の1割をくれだなんてチャチな話がしたいんじゃない。


もう一言添えてくれても良かったんじゃないか??



確かに俺は正しいコトをしたんだろう。

だけど、その後には不快感に近いものが残った。

5円玉落として拾って渡したワケじゃあないんだから、もう一言何かあっても良かったんじゃないか??


俺が求め過ぎているだけなのか??


俺が大金を手にするチャンス(そのまま持っていくコト)を放棄したから、そう思うのか??


正しいコトをした結果がコレか??


この胸に残るモヤモヤなのか??


世の中で教えられた正しい行動というのは、根拠があるのだろうか??


良いコトをすれば、いずれ自分に回ってくるだとか、そういうカルマ的な話や宗教的な話は、今は置いておきたい。


俺が正しいと教えられてきた行動を取っても、俺の消えた封筒やiPhone、iPad、iPod touch、財布は返って来ない。

別のカタチで帰ってきているんだというのも話のすり替えのような気がするので、それも置いておいて頂きたい。


何事もそうだが、切り替えが大事。

自分の手から離れてしまったモノが戻ってくるコトは、ほぼ無いと考えてイイだろう。

いつまでも、あぁだこうだと考えていても仕方が無い。


3分前は過去。


過去を引きずるコトに良いコトは無い。


いつまでも過去という名の亡霊に付きまとわれて、行動しにくくなるからな。


とにかく、明日ヒロくんに会った時に封筒が落ちたのを見なかったか聞いてみよう。



今夜もトラステヴェレの路上は厳しいものだった。


6月に入ってからサッパリだな。

5月の調子がウソのようだ。


今日も浮かないまま帰路に着いた。



トラステヴェレのレストラン街から出て、シスト橋へ行くと橋の脇にある階段には人が溢れていた。


どうやら、今日から正式にテヴェレ川沿いの屋台村がオープンしたようだ。

静かに唸りを上げるテヴェレ川沿いに幾つもの屋台、テントが並び、そこを人々が歩いている。


IMG_6633


どんな様子か階段を降り、歩いてみるコトにした。

ビアガーデン、アクセサリーショップ、レストラン、雑貨屋、テキ屋、マジックショップなんかが隙間無く続いていた。


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ココで路上出来たら、反応がありそうだな。


そんなコトを考えながら歩いた。


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ちょうど、屋台の列が切れる所に帽子屋があった。

中を覗くと良さそうな帽子があった。


クロアチアで失くしてから、帽子無しで落ち着かなかったから買ってしまおうか。


店主に値段交渉をするが、首を縦に振るコトは無かった。


そこにKさんがアシストをしてくれた。

「1曲唄うから安くしてよ。」

それを聞いた別の店員もアシストしてくれた。

「そうそう、彼は日本から来て路上で唄ってるのよ。アレはどこにあるの??見せてあげて。」

どうやら、前に見てくれたコトがあったらしく、看板の存在も知っていた。

その話を聞いた店主が、それならばと応じてくれた。


1曲心を込めて唄った。


「おぉ、良いな。よし、少しだけまけてやろう10ユーロでイイぞ!」

コインで10ユーロ支払いをして、帽子を手に入れた。


日本で帽子を被るコトって滅多に無かったんだけど、旅に出てからは帽子ばっか被ってたから、帽子が無くて落ち着かなかったんだよな。

これで、路上ももっと気合いが入るぞ。


新しい帽子を被って鏡を見ていると女のコが2人話しかけてきた。


「友達が誕生日でぜひ唄ってる所をムービーで撮りたいの。」

「お安い御用さ。」


ギターを構えると警備員がやってきて、ココでやったらダメだと言ってきた。

どうやら、川沿いはセキュリティが厳しいらしく、バスキングは出来ないらしい。


階段を昇った所に移動して、唄とメッセージのムービーを撮った。

満足してくれたようで良かった。


IMG_6640


さて、明日からまた週末だ。


失ったモノはもう返って来ない。


気持ちを切り替えて、失ったモノを取り返すべく頑張るか。

To Be Continued →

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